2024年9月3日火曜日

ベシャムからスワート地方のミンゴーラへ~インド・パキスタン旅行2024(25日目)

 2024年8月27日(火)、昨日ギルギット・バルティスタンを出てKP州に入り、この日はベシャムという町で朝を迎えた。

KP(ハイバル・パフトゥンハー)州、以前は北西辺境州と呼ばれ、都市部と主要道以外ではパキスタンの法律は適用されず、各部族の掟に支配される世界として知られた地域。言わば無法地帯だ。


そんなこともあってか昨夜ベシャムに着いてからは自由行動が許されず、武装警護を従えての夕食となったのだった。


そんなのでは気軽に町歩きもできないし、ちょっとそこまで朝食に出掛けることもままならない。せっかく来たのに残念だが、さっさと次の目的地、スワート地方の中心地ミンゴーラに移動することに。


5時半頃起きて先日キャッシングした分の返済を済ませると、6:50出発。案の定ホテルのスタッフに向いの警察署に連れていかれた。


小雨が降る中しばらく待たされて、マシンガンを持った警官とミンゴーラ行きの便が出るバザールに向かう。


ここからバザールまでは1.5kmほどあり、オートリキシャに乗り込む。代金は警官が払ってくれた。


ベシャムからミンゴーラまではタクシーで7000ルピーとのこと。高すぎるのでミニバスを待つ、と言ったつもりだったのだが。。。


結局ただ通り過ぎるだけとなってしまったベシャムの町。


時間があるので朝食へ。普段なら入らないようなちゃんとした店に連れていかれる。


パラタとフライドエッグ、それにチャイで150ルピー。パラタはサクサク系ではなくもっちり系だがやや油がキツすぎ。エッグも揚げすぎだろう。


フライパン担当の彼の腕がいまいちだったようだが、まあ好みの問題か。


しばらく待っていると警官の携帯が鳴り、バスが来たのかと思ったら、、、タクシーの乗客が他に3人集まったようで、シェアタクシーで強制出発となった。


8時過ぎにベシャムを出発。ここからはKKHを離れて西へ向かう山越えルートに入る。


これでようやく開放されたと思ったが甘かった。検問で警官が乗り込んできて、後部座席に4人が座るギューギュー詰めに。


途中いくつもの集落を通り過ぎるのだが、


その度に警官が入れ代わり立ち代わり交代で乗り込んでくる。まさかミンゴーラまで付いてくるつもり?


タクシーは沢沿いの道を登っていく。


段々頂上に近付いてきた。


途中ヤギの群れに行く手を阻まれる。


対向車も来るので大渋滞となった。


9:40標高2000m超のシャングラ峠に到着。管轄が変わるのか、ここでようやく警官から解放された。しかしここでは電話番号を聞かれ、迂闊にも教えてしまったのが間違いだったことを後になって思い知らされる。


ここから西に下っていくと、スワート川沿いに開けたスワート地方に入る。


クワザケラ(Kwazakhela)でスワート川に出ると南に進路を変えてミンゴーラへ。


11:35ミンゴーラ郊外のバススタンドに到着。


言い値2000ルピーを何とか1500に値切る。しかしここでも警官に引き渡され、そのまま近くのホテルに入れられそうになった。確かにこの辺りも賑わってはるが、それではおもしろくも何ともない。


バザールに行きたいんだというとオートリキシャを捕まえてくれた。運転手に後で連絡するように言付けられ、バザールに向かう。手間賃込みということか、3.5kmほどのところで300ルピー。


とりあえずバザールのど真ん中にある安そうなHotel Udyanaに行ってもらうと、


久々に場末感の漂うボロ宿だったけど、激安の600ルピーで泊まれることになった!これで高くついた交通費を挽回できる!


落ち着いたところで昼食に出掛ける。ミンゴーラは賑やかでいい雰囲気の町。


さすがにこの辺りまで来るとフンザ帽を被った人はほとんど見かけず、男性は白いムスリム帽を被っている人が多い。


昼食はホテル近くで目に付いた、レバー焼きの店に入ってみた。トマトの赤と青唐辛子の緑が食欲をそそる。


レバーを食べると健康的な気分になる私。思った通りの味でまずまずの昼食となった。280ルピー。


その後はバザールの細い路地を探索。


ドーナツ屋の主人に呼び止められて、甘い揚げパンとチャイをご馳走になった。


代金は受け取ってもらえず。


肉屋や八百屋が並ぶ路地。


鶏屋の人たち。


狭い路地は手押し車の八百屋の列で渋滞する。


すると今度は軽食屋に連れ込まれてまたチャイをご馳走になる。


軽食屋の人たち。


ここでも代金は受け取ってもらえず。しかしそんな楽しかったバザール歩きも突如として終りを迎えることとなる。


警察から電話が掛かってきてバザールにいるというと、地元の人に代わってもらって詳しい場所を聞いている様子。


電話を代わってもらったサンダル屋で待っていると、、、


案の定警官がやって来た。ここでは外国人の一人歩きは認められないという。好きなところに行って、好きなように写真を撮っていい。ただしセキュリティガード付きで!


そんなのが楽しいはずもない。諦めてホテルに戻った。その後は水浴びと洗濯をこなし、コーヒーを飲みながら部屋でおとなしく過ごした。あ〜あ、せっかくこんなところまで来たというのに。スワート川上流部もマス釣りで有名なところで、少し足を伸ばしてみようと思っていたのに台無しだ。


19時半頃夕食へ。出掛けるときにはマネージャーに一声掛けるように、と言われていたがこの時間マネージャーは見当たらない。どうしたものかと思っていると、、、別の部屋から昼間とは別の2人の警官が出てきた。どうやら同じホテルに泊まり込みで詰めている模様。ただの貧乏旅行者のためにそこまでするか。。。


ということで2人の武装警護を引き連れての夕食となる。


ケバブを焼く煙に引き寄せられて大きめの料理店に入った。


女性や家族連れが利用するカーテンで仕切れる個室スペースへ。


彼らはパシュトゥーン人で、貫禄があるが左が24歳、右が25歳と若い。給料は24歳で46000ルピー、25歳で51000ルピーとのこと。日本円にすると2万5千円程度だ。そんなのでやっていけるのか。。。


銃を持たせてもらうとずしりと重い。ロシア製とのこと。有名なAK-47だろう。もう一人が持っているのは中国製で、性能は劣るが先端に折りたたみ式の銃剣が付いているので少し高いんだとか。


料理のほうは私はチキンカライ、彼らはダルショーパルとか言っていたが、チャナとロビアのダルに鶏肉が入った煮込み料理を注文。


ここのチキンカライはスパイシーな鶏の鉄板焼き。香ばしくてうまい。ダルショーパルも少し分けてもらった。武装警護同伴でも、一緒に食べればそれなりに楽しいものだ。食後にチャイを飲み、会計は私が持つ。


全部で1000ルピーと、普段の私からすると結構な出費だが、日本円にすると僅か530円。これまで受けてきたパキスタンの人々からの親切からするとまだまだ全然足りないが、これで少しは恩を返せたか。


とは言えどこへ行くにも付いて来られては堪ったものではない。町自体に緊迫した不穏な空気が漂っているかというと全くそんなことはなく、人々は親切かつフレンドリー、至って平和に見えるのだが。せっかく居心地いいミンゴーラだけど、明日はどうしたものか。。。