2019年8月7日水曜日

ティップが折れたフライロッドを修理する

私が渓流釣りで使用するメインのロッドは7フィートの4番。
おそらく現在の渓流フライフィッシングでは8フィート前後の3番以下が主流なので若干短め。昔は2番下のラインは一般的ではなかったけど、最近では1番やその下の0番、00番なんかもある模様(フライロッド、ラインの番手は番号が小さくなるほど軽くなる)。ラインが軽いほどより繊細な釣りができるし、ロッドも弱くなるので小さい魚が相手でも引き味を楽しめるようになるのかもしれない。

しかし私の場合は渓流でもウェットフライを多用し、8番のフライを2本結んだりもするので3番ではキャスティングがままならず、4番のロッドを使っている(フライフックは番号が大きくなるほど小さなサイズになる。渓流釣りの標準は14番くらい)。狭い川や藪が濃い川では6フィートを使うし、開けたところでは8フィートも使うけど、やはり7フィートが一番使いやすい気がしている。

そんな7フィートのフライロッド、3番ならいろいろ選択肢もあるけど4番となるとほとんど選択肢がない。現在私が使っているのはアングルのアキスコ・エアーライトARGF704というロッド。それまで使っていたロッドをシーズン中に折ってしまったため急遽購入したもの(今調べてみたところエアーライトロッドの2ピースモデルは既に廃番になっているみたい)。

アキスコ・エアーライト704とヤマメ

廉価な入門用のロッドだけど、使ってみるとそこそこ使いやすくて何だかんだで4、5年くらいずっと使っている。4番にしてはかなり柔らか目で、そのおかげで小さな魚でもバラシにくいのはいいけど、ちょっと距離を取って釣ろうとするとビシッとキャスティングが決まらず、パワー不足を感じる。それにショートロッドにしてはストリッピングガイドの位置が遠すぎて若干使いにくい。

そんな感じで多少使いづらさあるものの、大きな不満はなかったため、つい折れたロッドの修理を先延ばしにしていたのだった。そのロッドはマッキーズのアーティスト・ロングリフターLGF7034というモデル。マッキーズは個人ビルダーがやっている小さなメーカーで、HPを見るとこのロッドもまだ販売中。なんと販売開始から30年以上経っているとのこと(私が使い始めたのは10年くらい前から)。

アーティスト・ロングリフター7034とアマゴ

昔から販売されているロッドらしく3番、4番の2番手指定。ドライフライ専用なら3番のほうがいいかもしれないけど、4番でも問題なく振れる。決して安いロッドではないけど、クオリティを考えれば最近の海外メーカーの価格に比べれば驚くほど良心的な価格設定に思える。

しかし自分の不注意で車に保管中にティップを先端から10㎝くらいのところで折ってしまったのだった。おそらく修理するとなるとティップセクション交換となり、確認はしていないけど2~2.5万くらいは掛かりそう(一般的に2ピースロッドのティップ交換はロッド代の6割程度と言われている)。


簡単に修理する方法としては、折れた箇所にトップガイドを付けなおし、少し短いロッドとして使うこともできそう。ただそうすると7フィートではなくなるし、個人的に6フィート8インチなどの中途半端な長さは好まない。たぶん10㎝短くなったところで実釣にはほとんど影響とは思うけど。。。

そんな中、先日の旅行中は釣りのことを考えることが多くて、2万円以上掛かったとしても修理して、もう一度このロッドを使いたくなったのだった。しかし帰国後、これも旅行中に見つけて欲しくなり衝動買いしてしまったロッドにヒントを得て修理方法を思い付いた。そのロッドはフライロッドでは珍しく、ティップがソリッドカーボンだったのだ。

折れたのは普通のチューブ状のカーボンロッド。そこにソリッドのグラスかカーボンの棒を差し込んで接着すれば問題なく使えるようになるのではないかと。やたら前置きがながくなってしまったけど、早速自分で修理してみることにした。

ソリッドのカーボンやグラスはウキ自作用の材料として釣具屋に売っている。近くの上州屋に行き、少し悩んだ末カーボンだと硬すぎるかも、と思ってソリッドグラスで試してみることにした。値段がカーボンの半額くらいだったこともある。折れたロッドを調べてみると、内径1㎜くらいだったので1㎜のソリッドグラスを購入。50㎝×2本で291円。


これを6㎝くらいに切り出し、折れた部分に差し込んでみると、バット側にはちょうどいい具合に入るけどティップ側には太すぎて入らない。そこで紙やすりで少し削ることにした。紙やすりはたまたま家にあった#240を使用。


先端から半分くらいまでを削って爪楊枝状に加工し、差し込んでみるとうまい具合に入った。しかし、接着する前に繋げた状態でティップを軽く曲げてみると、折れた箇所を中心に不自然にへの字型に曲がってしまう。もともとのカーボンブランクに比べてソリッドグラスが柔らかすぎる模様。


接着すれば多少ましにはなりそうだけど、せっかくのお気に入りロッドなのでもう少し硬いはずのソリッドカーボンも試してみることにした。再び釣具屋に走り、ソリッドカーボンを物色。あいにく1㎜のソリッドカーボンは50㎝×2本入り450円(税別)の在庫がなく、30㎝×5本入り640円(税込み691円)を買う羽目になった。こんなにいらないんだけど。。。


家に帰って先ほどと同様に爪楊枝状に加工してみると、このソリッドカーボンはソリッドグラスに比べて若干径が細かったようで、1本目は細くなりすぎて失敗。もう1本切り出し、気持ち程度削ってみると今度はばっちり。ちょうど3㎝くらいティップ側に入った。バット側も繋いで軽く曲げてみると、やはり若干への字型にはなるけどグラスより全然まし。接着すればいい感じになりそう。


接着剤は家にある瞬間接着剤を使おうかとも思ったけど、耐久性を考えてロッドビルディングに多用されるエポキシ接着剤を使うことに。これはダイソーで調達。もう少し硬化時間長めのほうが作業性はよさそうだけど、近所のダイソーでは10分硬化型一択だった。


折れた箇所はささくれがあるけど、そのままの方が接着強度が出そうなのでそのまま使用。まずソリッドカーボンの先端半分くらいに薄くエポキシ接着剤を塗り、ティップ側に差し込む。はみ出た接着剤を残りのソリッドカーボン側に伸ばし、さらに接着剤を追加して満遍なく塗った。


今度はバット側に差し込むと、折れた箇所のささくれを処理していないので、パズルのようにピッタリはまる箇所があり、そのまま接着。これだとガイドの向きも問題ないはず。表面にはみ出した接着剤は接合箇所のまわりに薄く伸ばした。


接合部はあとでサンディングして塗装しなおそうかとも思っていたけど、個人的にはこのままでも不満はないので修理完了。よく見るとちょっと不格好だけどものの15分くらいで完了した。気になる人は何らかの処理をしたほうがいいかも。軽く曲げてみたところベンディングカーブもまあまあ自然な感じ(上の写真)。もし折れるとしたら、応力が集中しそうなソリッドカーボンを入れた前後両端のどちらかかな。掛かった費用は、

  • ソリッドグラス(50㎝×2本入り):291円(使わず無駄になる)
  • ソリッドカーボン(30㎝×5本入り):691円
  • エポキシ接着剤:108円
  • 合計:1090円

ソリッドグラスは無駄になってしまったし、余ったソリッドカーボンも他に使い道が思いつかないけど、全部で1000円ちょっとで修理できた。実釣テストは今月半ばから行く次回の岩手遠征で。もしダメだったら今度はメーカーに修理依頼します。

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