2024年8月22日(木)、この日はパキスタン北部、ギザール渓谷最奥のファンダールというところで朝を迎えた。
さすがに標高3000mだけあってかなり冷え込んだが、泊まっているSada Bahar Hotelの部屋はツインだったので、毛布を2枚使って温かく過ごすことができた。6時半頃起床。7時を回ったところで期待せず朝食に出掛けてみる。気温は15℃くらいだろうか、寒いので長袖シャツの上にウィンドシャツを羽織った。するとまだほとんどの店が閉まっている中、開いている一軒の店の奥にガスコンロが見えた。入ってみると軽食屋。
外観だけでは全くわからない店構え。聞いてみるとパラタがあるという。長らく避けてきたパラタだけど、体調はいいしそろそろ再チャレンジしてみてもいい頃かもしれない。部屋でビスケットを食べるよりはずっといい。ということで今日はパラタとチャイの朝食。
町中では一旦棒状にした生地に油を塗ってロールにし、それをさらに伸ばしたものが多いが、ここのは家庭仕様の2枚の生地を伸ばして揚げたものっぽい。全然油っこ過ぎず、サクサク食感のデニッシュのようでおいしい。
チャイと一緒に出されたのは砂糖と岩塩。岩塩はどうやら好みでチャイに浸して塩気を付けるみたい。そういえばパキスタンでチャイを注文すると時々砂糖を入れるか聞かれ、何を当たり前のことを、と思っていたのだが、砂糖ではなく塩を少々入れた甘くないチャイもよく飲まれているようだ。
値段も100ルピーと良心的で十分満足な朝食となった。さて、今日はファンダール周辺の散策&釣りの予定。明け方かなり激しい雨が降ったようだが、今は晴れてきている。恐らく午後にはまた天気が崩れそうなので早めに出掛けることにして7:40出発。
まずはここからギルギット方面に6kmほど戻ったところにあるファンダールレイクという湖に行ってみる。この時間は通学途中の学生がゾロゾロ。
脇道があったので入ってみると、
いい感じの川原に出た。ここはバックスペースがあってフライフィッシングには絶好の場所。後でやってみることにしよう。
牛飼いおじさん。みんな笑顔で挨拶してくれる。
向こうに吊り橋が見える。
ここはバイクも通れる吊り橋。
気持ちのいい青空の朝。
しばらく進むと峠越えの登りに差し掛かる。
ここからは車道を外れて川沿いの脇道に入った。
歩きやすいポプラ並木の小道をゆく。
すると今度は川面ぎりぎりに垂れ下がった吊り橋を発見。
こちらは歩行者専用。
川には水草が生い茂っていてスプリングクリークのよう。ここは扇状地なので実際に湧き水がかなり入っているのかも。
吊り橋を戻って、
道なりに進んでいくと、
クリアウォーターの湖に出た。思ったより小ぢんまりとしたファンダールレイク。
湖なら釣りができるかも、と期待していたのだが、岸際は水草が生い茂っていて思いの外浅い。見ると泳いでいるのは残念ながらトラウトではなく金魚!
湖の周りに道が付いているので目を凝らしながら半周くらい歩いてみたが、トラウトの魚影やライズは確認できず。
フライロッドを振れそうな場所も見当たらないので釣りは諦めた。
金魚の群れ。
いい景色を堪能できたのでまあいいだろう。今度は丘を登っていく。ファンダールレイク全景。
丘を登ると昨日バスで通った車道に出た。眼下に広がるのはチャシ(Chashi)の集落。
帰りは車道を通って帰ることに。
ファンダールの入口。標高9855フィート。
こちらがファンダール。これこそまさに桃源郷。
しばらく進んだところでバイクのおじさんが送ってくれた!度々ありがとうございます!
行きがけに見つけた吊り橋を渡って川の対岸側を歩いてみる。
頭の中ではシューマンの第3番ライン交響曲がこだまする。たぶん景色は全然違うんだろうけど。。。
こちら側にもポプラ並木の小道が続いていた。
天気に恵まれて最高の散策日和り。
支流を渡る橋を渡る。
そこからはギルギット川から離れて水路沿いの道になった。
英語が話せるからか、パキスタンでは非常に珍しいことだが女性から声を掛けられた。
さらに進むと少しバックスペースのある絶好のポイントに出た。
近くにいたおじさんにひと声かけて竿を出してみることに。
ウェットフライで釣り下ってみるが何もなし。
沈み石がある絶好のポイント。この辺りから木立ちが始まってバックキャストができないので、スペイキャストでやってみたがダメだった。魚がいないのか、フライが合っていないのか。
諦めて先に進む。案の定お昼になると雲行きが怪しくなってきた。
上流の吊り橋を渡ってメインストリートに戻る。
お昼を回るともう下校の時間。
Sada Bahar Hotelから1.5kmほど離れたこの辺りにもお店やホテルが並ぶ。学校もこの辺りにあるようだし、ファンダールの中心はこちらなのかも。
昼食は目に付いたHill Heaven Hotel & Restaurantに入ってみた。ここはホテルよりもレストランメインでやっているような雰囲気の店。聞いてみるとダルマーシュとロビアがあるというのでロビアにしてみた。
ロビアは一見日本の甘い煮豆のようでパッと見あまり惹かれないが、食べてみるとピリ辛でなかなかおいしかった。これで300ルピーはちょっと高い気がするが。
帰りに昨日も立ち寄ったChief Hotelでチャイ休憩(50ルピー)。隣の隣に軒先に釣り具が並んだ店があったので入って情報収集してみる。中は衣料品店だったが。。。
店主の親父さんよるとこの辺りでの釣りにライセンスは不要、今がトラウトフィッシングに絶好のシーズンだと言う。となると後は腕次第ということか。私のフライボックスを見せると、意外にもこれまでメインで使ってきた普通のウェットフライがいいと言う。やっぱり腕の問題だったか。
ホテルに戻るとギリー君はお昼寝中。疲れたので私もしばらく休憩した後、まだ天気が持ちそうなのでもう一粘りしてみること。
今度はホテルより上流側に行ってみる。少し上流に流れ込む支流は滝のように流れ下っていた。
畑では小麦の収穫作業がたけなわのファンダール。
一家総出で麦刈り中。奥さんと娘さん、奥は兄弟とのこと。仲睦まじい家族で微笑ましい。
さらに上流に行くと川に降りられる場所があったが、ガンガンに流れる瀬。バックスペースがないのでスペイキャストで岸際を探ってみたけど何もなし。
最後は朝見つけたポイント行ってみよう。と思っていると雨が本降りに。しばし軒下で雨宿り。雨が弱まったところで釣り開始。
ここは岸が低いバンクになっていて、流れはともかく釣りやすさでは一番のポイント。しかし相変わらずアタリもカスリもせず。やがて嵐のような天気になってファンダールで釣りは終了。まだまだ修行が足りないみたい。いつか水がクリアなる季節に再チャレンジしたい。
朝の店がまだ開いていたので、冷えた体をチャイ(50ルピー)で温めて部屋に戻った。
寒いので水浴びと洗濯は見送って、夕食は今日もトラウトフィッシュをお願いした。ブラウントラウトなんてそうそう食べられるものでもないですしね。昨日2匹でちょっと物足りなかったので今日は3匹お願いしたが、小さいものばかりだったのか4匹出てきた。
今日もサクサクのトラウトフライを堪能して完食。この日は部屋にいる間中ずっと停電で、食事中は自家発電機が稼働。チャンスとばかりにコーヒーを飲もうとコイルヒーターをコンセントに挿すと、照明が点滅し始め、遠くで唸る発電機の音が弱まる。
こんな小さなコイルヒーターがそんなに電気を食っているのか。残念だがコーヒーは諦めて、最後のモモと水でやや寂しくこの日を締めくくったのだった。