2024年8月21日(水)、ここパキスタン北部ギザール地方のガクーチは、暑すぎず寒すぎずで非常に過ごしやすい。
それに町の居心地のよさを加味すればもっと長居したいところだが、パキスタンのビザ期限を考えるとそんなに余裕もないので今日はギザール渓谷を更に奥に進んでファンダールというところまで行ってみようと思っている。この日も7時頃起床。朝食は昨日と同じ店に出掛けた。申し訳ないけど今日も店主のおやじさんにナンを買いに行ってもらう。
ナンとチャイの朝食、80ルピー。これまでの感じから、朝提供されるナンは昼や夜におかずと一緒に食べるものとは違って、そのままで食べやすいように敢えてこんがり焼いているんじゃないかという気がする。もしかする生地の配合なんかも違うのかもしれない。
昨日調べたところファンダール行きは9時に出るとのことなので8時過ぎにチェックアウトして出発。バスターミナルに向かう。
だだっ広いバスターミナルの一番奥にあるNATCOのチケットカウンター。
9時過ぎにバスがやって来た。思ったより大きめのマイクロバス。
ファンダールは結構辺鄙なところらしいので、非常食にビスケットを買っておく。店主の少年はびっくりするくらいきれいな英語を話した。学校の時間だと思うけど、大丈夫なんだろうか?
さすが国営のNATCO、30人乗りくらいのところ、10人くらいのガラガラの状態でで9:45ガクーチを出発した。ガクーチからファンダールまでは600ルピー。
ギザール渓谷沿いの道はほぼギルギット川の右岸側を通る。最初は左側(山側)の席を充てがわれたが、席に余裕があるので途中でいい景色が見られそうな右側に移った。
ガクーチから先は深い渓谷沿いを進んで行く。道路は一応舗装されているのだが、崩落が多いのだろう、かなりデコボコ。
この辺りは岩山に囲まれた荒涼とした景色が続く。それが畑であっても緑が見えるとホッと心が和む。
11:30、途中の比較的大きな町グピス(Gupis)に到着。
ここで昼食休憩となった。
ダルに牛肉煮込みをトッピングしたもの。ダルゴーシュトというやつか。味は可もなく不可もなく、値段は300ルピーで普通。
ダウンジャケット着るほどでもないけど、この辺りまで来るとかなり涼しい。
ここから結構な乗客が乗ってきたので元の左側の席に戻された。
途中崩落した大岩に進路を阻まれる。車掌が降りて、周りの石を均して大岩の脇をバスが通れるようにしているところ。結構な坂になっており、1回目は登りきれず。一旦バックして2度目のチャレンジで無事通過。こんなところで定期運行するのは一筋縄ではいかないようだ。
下校途中の男子学生が前を行くトラックにしがみついている。奇声を上げながらとんでもないオフロードを走るのは娯楽の一種かもしれない。
それはともかく、こんな辺鄙なところにも子供や若者が大勢いるのが不思議。というか羨ましいですね、地方に行くと人けがなくて寂れる一方の日本に比べると。
オーバーハングの崖スレスレを通過。
道はやがてギルギット川を渡って左岸側に移った。
この辺りまで来ると、ギルギット川の濁りも多少薄まって、青みを帯びてきている感じ。
ここからは山道入ってぐんぐん標高を上げていく。先ほど通った集落が眼下に小さく見える。
標高9855フィート(3005m)の峠を越えて15:20、ようやくファンダールに到着。昼食休憩の30分を除くと100kmの道のりに5時間掛かったことになる。
ファンダールは道に沿って200mくらい商店などが並ぶだけの、町とも言えないような集落だった。ここまで来ると半袖では寒いくらい。曇ってきたこともあってか、気温は多分20℃くらい。
目星を付けていたSada Bahar Hotelに行ってみると、
簡素だけど必要にして十分そうなツインが1500ルピーで即決。めちゃくちゃ遅いけど、電気が通っている間はwifiもあり。まあ、かなり頻繁に停電するのだが。。。
宿の犬がすぐに懐いてきた。おとなしいけど人懐っこくてめちゃくちゃかわいい。
ほんとに何もないファンダールの町、というか村。
早速散策に出掛けると、犬も着いてきてくれた。
人に聞いて何とか茶店にたどり着く。一度通り過ぎたはずだけど、パッと見全然気づかなかった店構え。
もうこの時間は殆ど売り切れで、最後の1杯だと作ってくれた。値段は平地と同じ50ルピーで一安心。ただやはりここで食べ歩きを楽しむのは難しそう。というか普通の食事にも苦労しそうなレベル。
犬はその間おとなしく待っててくれた。何と賢い犬なんだろう!
犬の案内で村の奥に進んで行く。
村の子どもたちは棒で車輪を転がす遊びに興じていた。懐かしい、、、と言っても私はやったことないけど。
牛やヤギが草を食むのどかな景色が広がる。
かわいい子牛。
畑では麦の収穫作業中。
川はこっちだよ!
この水色なら何とか釣りはできそう。ただこの水位だとフライロッドを振るのはちょっと難しいか。
まさか飛び込むつもりじゃ、、、
ないよね。
でも何かを訴えかける表情。
こっちのポイントなんかどうですか?そうか、ひょっとすると君はギリーだったのか!
帰りは水路沿いの小道を歩いた。
女性陣は川で洗濯。
さて、ホテルに戻ると寒くて水浴びは厳しいのでバケツにお湯をお願いした。ほんとにバケツ満杯の熱々のお湯を持ってきてくれてありがたいことこの上ない。
そんなわけで夕食は宿にお願いすることになる。何ができるか聞いたところ、トラウトフィッシュもあるという。せっかくなのでマス料理をお願いした。この時も停電中で、自家発電機稼働!
トラウトフィッシュ。ブラウントラウトですね。中でも大きめの2匹を選んだ。大きいものでせいぜい20cm。釣れたとしてもこんなものなんだろう。そんなことを思っているとあっという間に出来あがり。どんな料理が出てくるのかと思ったら、
シンプルなフライ。それにチャパティ2枚とアチャール。ソースはケチャップしかないので胡椒を振って頂いた。スープがあれば完璧だが、まあ贅沢は言うまい。これが淡白だけど、カラッと揚がって非常に美味。骨も丸ごと食べられて完食。
ちょっと物足りないけど私にはモモもある。幸いまた電気が来たのでコーヒーを飲んで、ファンダールの静かな夜を締めくくった。