いよいよ2021年のサクラマス釣りシーズンが開幕しました。
以前書いた通り今年も山形に通う予定。相変わらず九頭竜川は釣れていないみたいだけど、他の川はどうなんだろうか?ところでこの時期、シーズン初期から盛期にかけてサクラマスをフライフィッシングで狙うとなると、やはり大型フライを沈めて釣ることが多くなる。そんなとき私が使っているのはシューティングヘッドのシステム。この釣りを始めた当初はその頃流行っていたインターチェンジャブルのスペイラインを使っていたのだけど、ハイウォーターの時期には全く釣れる気がしなかった。
そのときはシーズン後半のローウォーターの季節になり、ウェットフライを使うようになってようやく1バラシを経験するだけとなった。インターチェンジャブルのスペイラインはもともと北米でスティールヘッドを釣るために開発されたもの。
やはりサクラマスとスティールヘッドでは同じ遡上魚とはいえ性質が異なるのだろうか。それで翌シーズンからはシューティングヘッドを使った釣りを開始した。とはいえダブルハンドの釣りはスペイキャスティングから入ったのでオーバーヘッドではなくスペイキャスト。
ただ当時(2000年代前半頃)は今ほどは情報がなく、北欧ではシューティングヘッドを使ったスペイキャスティング(アンダーハンドキャスト)が主流、というのを本やネットで見ることがあった程度。
なんでも短いシューティングヘッドの長さを補うために長いリーダー(15フィートくらい?)を使い、リーダーでアンカーを入れるとのことだったけど、映像を見る機会がなくて実際のところどういうキャスティングなのか想像できなかった。
そこでラインを切り貼りしながら手探りの状態で始めたのだった。そのうちSpey-O-RamaのDVDが発売されてようやくヨラン・アンダーソンやシルスタッド兄弟のキャスティングの映像が見ることができ、イメージが掴めてきた。
ただ、アンダーハンドキャストが効率的なのは理解できるけど、そのキャスティングスタイル自体はあまりエレガントには見えず、好きになれなかった。なので私の場合キャスティングスタイルとしては上手、下手を50:50で使うデレク・ブラウンのスタイルを元にしている。
最初は10番、11番、12番のシューティングヘッドを15フィートずつ繋いで45フィートくらいのヘッドからスタート。当初はキャスティングのコツもわからず、ロッドに対する適正なライン重量もよくわからなかったけど、試行錯誤の末何となく掴めてきた。
そのとき使っていた14フィートのロッドでは35フィートくらいのヘッドが投げやすいことが分かってきた。そうして行きついたのが当時販売されていたSA(Scientific Anglers)のSTL(シューティングテーパー・ロング)の13番をボディーに使ったチェンジャブルライン。
ループtoループでリオの15フィートティップをそのままティップに使い、ボディーとティップのシンクレートを変えて組み合わせることで様々な状況に対応できるという自作の改造シューティングヘッド。
STLの13番は1フィート当たり1gほどの重量があり、これの各種シンクレート20フィートにリオの8番のティップを繋ぐと27、8gほどになる。このラインシステムを使い始めると徐々に本流ヤマメが釣れるようになり、さらに数年かかったけどついにサクラマスを手にすることができた。
そのうちバックスペースや風向きに関係なくキャスティングできるようにリバースハンドでのキャスティングも取り入れるようになり、より取り回しのよい13フィートロッドをメインで使うようになって今に至っている。
ここで一つ、非常に不満だったのがSAのシンキングラインは巻きグセがひどいこと。タイプ1とタイプ4はそれほどでもないけど、一番使いどころの多いタイプ2とタイプ3は本当にひどい。特にシーズン初期の寒い時期はなおさら。
箱から出した時点では結構やわらかいのだけど、使い始めるとすぐに固くなり、一旦指で巻き取ると次に使うときには引っ張っても全然巻きグセが取れない。開発者の安田龍司さんはヘッドの両端にスイベルを付けているみたいだけど、それもちょっとなあ。。。
よくスペイ系のキャスティングは回転運動が加わるのでラインが撚れやすいと言われているけど、それは全くのウソ。ラインの巻きグセが取れないから、ラインが水中でスクリューのようにくるくる回転しているのだ。
おかげでSAのラインで釣りをしているとランニングラインがすぐにチリチリになってしまうし、フライも一緒に回転していると思うと釣れる気がしない。そんな時に出会ったのがエアフロがLOOP向けに作ったけど発売に至らなかったというアダプテッドラインというシューティングヘッド。
それが今はもうないイギリスのアウトレットストアで安く販売されていたのだ。これはインターミディエートとファストシンクがあり、エアフロなのでコーティングはポリウレタン。ファストシンクはモノコアでやわらかく、ほとんど巻きグセが付かない。シンクレートは体感的にタイプ2~3程度。
これの#9/10は1フィート1g、#10/11で1フィート1.2gほどの重量があり、改造シューティングヘッドを作るには最適だった。13フィートロッド用にはこれらを13~15フィートにカットして、リオのティップ12~13フィートを繋いで全長25~28フィートのヘッドにしている。
このシステムでもう10年以上釣ってきて、それなりに釣果も上がっている。ただここにきてこのラインにも問題が発生。エアフロのラインはポリウレタンコーティングだけにPVCに比べてクラックが出にくく、一時期10年間ノークラック保証なども謳っていたほど。
確かにクラックはなく、ラインもやわらかいままで非常に使いやすかったのだけど、15年近く経った2019年ごろから急激に劣化しはじめて、コーティングがボロボロと剥がれるようになってきたのだ。これは経時的に加水分解するポリウレタンの宿命か。
ブレイデッドコアのインタミのほうはまだ使えそうだけど、モノコアのファストシンクは壊滅的。まだ未使用のストックもあるけどそれらもダメだろう。昨年2020年シーズンは幸いにも(?)コロナの影響でハイウォーターの時期が吹っ飛んだので問題は表面化しなかった。
ちなみにこのアダプテッドラインのインタミは先端は少し沈み、後端はほぼフローティングとまさにグリースドラインといった感じで、私の本流ウェットフライフィッシングにはなくてはならないものになっている。よく魚の写真に一緒に写っている水色のラインがそれ。
それはさておき、シンキングラインを何とかしなければ、と昔使っていたSAのラインを引っ張ってみたりしたけどやっぱりダメ。そんなとき押し入れから出てきたのがオービスの14番、ファストシンクのシューティングヘッド。
これも2000年代半ばの超円高時代、アメリカのオービスのサイトから直接個人輸入したもの。これを昨年夏に北海道で試しに使ってみたところ悪くない感じだった。SAほど固くないのでもしかしたらコートランド製だろうか。まだ寒い時期には試してないけどまあ使えそう。
ただ当然もう販売されておらず、この先手に入れるのは難しい状況。たまたま少し前にヤフオクでこれの13番が出ていたのですかさず購入しておいた。とりあえず今シーズンはこの13番と14番をカットしたものでいく予定。最悪の事態は避けることができそう。
ただ気になるのが実際のシンクレート。これまで使ってきたエアフロやSAのタイプ3あたりに比べると若干太い気がするのだ。ここはちょっと簡易的な測定方法を思いついたので、次回早速検証してみたいと思います。
関連記事:シンキングラインの悩み(その2)~各種シンキングラインのシンクレートを測る
関連記事:シンキングラインの悩み(その3)~ヤフオクの廉価ラインは使えるのか?